ぬるま湯に浸かったら人はダメになる。よく言われていることではありますが、「本当にここまで人はダメになるものなのか!」と驚いてしまった実例をご紹介します。
ある日、私の会社に派遣でやってきたSEのAさん。初日は職場の説明やこれからのスケジュール、資料を読んでもらったりと、単純で地味な仕事しかしませんでした。だからかもしれませんが、この Aさん、少し目を離した瞬間に、なんと、ウトウトと居眠りを始めてしまったのです。それからも暇があったら寝ているんです。え?さっきまで起きてたよね?と思っていたら、すぐウトウトし始めている。地味な仕事しかなかったとはいえ、初日から寝るなんてすごい度胸だな、と驚きつつ呆れてしまいました。
初日から堂々と居眠りをしていたAさん。やる気のかけらも見られません。本人にしてみれば居眠りではなく、「ちょっと時間があまったから仮眠を取っていた」という軽い気分なのかもしれません。けれども、初日という普通の人ならちょっと緊張していてもおかしくない特殊な環境な中で、よくもまあ眠れるものだ、初っ端からこんな風で大丈夫かな、と心配していました。とはいえ、契約期間が終わるまではしっかり仕事をしてもらわないといけません。お客さんや他の従業員の手前、居眠りしているAさんを見つけてはこまめに注意を促し、起きてもらう、という日々が続きました。起きているときはきちんとSEの仕事をこなしてくれるのですが、少し目を離すと、隙をついて仮眠を取ってしまうAさん。手持ちの仕事が終わったなら、次の仕事を探してくれればいいのに。結局、何度注意してもこの仮眠癖は治らず、注意し続けてもきりがありませんでした。そんな中、世間話を聞いていくうちにわかったのは、Aさんの前の派遣先がとんでもない「ぬるま湯」だった、ということです。
Aさんの前の派遣先は、完全に個人作業で、なんと作業部屋という名の個室まで与えられていたということでした。誰にも監視されず、一人でコツコツ作業をしているうちに、「ちょっと仮眠を」という悪い癖がついてしまったようでした。誰からも叱られない自由度の高い環境で、しかも時間でお給料は支払われるというぬるま湯の中、帰宅後の自宅では夜遅くまで趣味のインターネットで遊び、職場ではこっそり仮眠を取るという、とんでもない習慣がついてしまったようです。結局、この癖は次の派遣先である私の職場にきても抜けきれず、自分で自分を管理しきれなかったAさんは、ぬるま湯の中でダメダメな人になってしまっていました。これを要領がいいとでもいうのでしょうか?私は、Aさんのようにはなりたくないと思いました。
SEとしての本来の力を充分に発揮することもできず、仕事に楽しみも持てず、ただ仮眠を取ることだけに旨味を覚えるような仕事をするSEになりたいと思いますか?
派遣で働き続けることに疑問を持ち始めたSEは、キャリアアップに役立つスキルを磨くのもおすすめです。ある程度の経験を積んで技術を身につけた中堅SEは、新人指導と育成を任せられることが増えてきます。また、目標達成に向けてチームメンバーを統率するチームマネジメントも中堅SEになると求められる機会が増えるでしょう。このような役割が期待される中堅SEは、マネジメントスキルを磨くことで成長を実感しやすくなり、評価も得やすくなります。
エンジニアが派遣で働き続けることは、収入の面で大きく損をしていると思います。派遣会社がサポートをしてくれるというメリットはありますが、そのサポートが必要なものであるか、自分には不要、あるいは少しでいいのか、ということがフリーランスになることで切り分けが可能です。どうしても面倒、あるいはできないことであれば、専用のサービスや外部に任せてしまえばいいのです。その費用を支払っても十分の収入が、フリーランスになることで得られるのです。
SEにとって資格というと、「転職に有利なツール」という印象が強いのではないでしょうか。もちろんその通りなのですが、資格取得にはもうひとつの利点があります。それが「資格手当」です。資格手当の基準は会社によって異なりますが、もし今勤めている会社に資格手当がなかったとしても、次の転職先では資格手当制度があるかもしれません。同じスキルを持っていても資格という目に見える形として取得しているか否かで、収入が変化するのですから、取得しておくに越したことはありません。